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【現代文】なぜ「要旨をつかむ」ことは難しいのか~東大生が考える要点を把握する読解~
プロフィール

名前:葛岡光太郎
所属:東京大学経済学部経済学科
趣味:音楽を聞くこと、読書、囲碁
「現代文の要旨をつかめと言われても、結局何が言いたいのかサッパリ……」
そんな悩みを持つ受験生は多いはずです。
私自身も高校生のときには、学校のテストや模試で出題される文章を読んでいると、「こんなの理解できるわけない」、「文章長すぎて、結局何を言っているのか分からない」という怒りが湧いてきたことをよく覚えています。

そもそも、現代文(評論文)の内容は、世間一般の大人が読んでも「難しい!」と感じるレベル。それを高校生に読ませているわけです。
そんな難しい現代文をどのように読解すればよいのか。この記事では、私自身が大学受験の勉強を進める中で得てきた、要旨をつかむコツをお伝えします。
目次
大学受験で問われる評論文の特徴
⑴ 一般の高校生が使える語彙よりはるかに高い語彙レベル
難しさの最も大きな要因は、あまりにもレベルの高い語彙です。
例えば、以下の3つの言葉の意味を説明できますか?
- 合理主義
- 普遍的
- 分節化
いずれも、大学受験の現代文では、(注)なしで出てきてもおかしくない語彙たちです。でも、いざ説明するとなると、難しい。「意味わからないよ……」という人も多いのではないでしょうか?
⑵ 制限時間に対して長すぎる本文
現代文の試験問題を開いた瞬間、その文字数に圧倒された経験はありませんか?
しかし、ここで知っておいてほしいのは、「筆者は、すべての文章を同じ熱量で読んでほしいとは思っていない」ということです。
入試の本文がなぜこれほどまでに長いのか。それは、筆者の主張を説明するために、膨大な「前振り(一般論)」と「補足(具体例)」を積み上げているからです。
そんな中、「時間が足りない!」と焦って全文を等倍速で読むのは、賢い手段とは言えません。
要旨をつかむコツさえ知っていれば、長すぎる本文は「重要なポイントが強調された、メリハリのある文章」に見え始めます。
⑶ 筆者の主張のオリジナリティが明確
現代文で出題される文章を読んでいて、「なんだか極端なことを言っているな」「ちょっとひねくれすぎじゃない?」と感じたことはありませんか?
実は、それこそが「現代文の正体」です。
世の中には、沢山の文章が既に書かれています。それなのに、新たに何千字もの文章を書く人がたくさんいるのは、なぜなのでしょうか?
筆者がわざわざ文章を書くのは、「世間の大多数が信じている常識(一般論)に対して、異議を唱えたいとき」だけです。

このように、あえて世間の常識とは異なる角度から光を当てるオリジナリティに気づくことができれば、筆者の主張をおさえることができます。
受験生にとって大切なのは、自分の常識で文章を判断しないことです。私も受験勉強中には、自分の思い込みで文章を都合よく解釈して、筆者の主張と真反対に突き進んでしまっていたことが何度もありました。
読んでいて「えっ?」と違和感を持った場所。それこそが筆者が一番伝えたかったオリジナリティの核心であり、問題として問われる「要旨」の正体なのです。
要旨をつかむことができない原因
⑴ 「具体例」にこだわりすぎる
筆者は、自分の難しい主張を理解してもらうために、身近な例え話や具体的なエピソード(具体例)をたくさん盛り込みます。
しかし、要旨がつかめない人は、この「具体例」を読み込むことに全エネルギーを使ってしまいます。
⑵ 難しい言葉で読解がストップしてしまう
「近代」「自我」「普遍」「分節化」……。現代文には、日常会話ではまず使わないような小難しい言葉が並びます。
こうした語彙が出てきた瞬間に、「うわ、意味がわからない」と脳がシャットダウンしてしまうこと、ありませんか?

どんなに勉強していても、一つも知らない言葉がない、なんてことはほとんどありません。だからこそ、難しい言葉にビビッてしまうと、そこで遅れを取ってしまいます。
⑶ 一般論と筆者の主張を混同してしまう
これが最も多くの受験生がハマる「最大の罠」です。
評論文の多くは、まず「世間一般では〜と言われている」「たしかに〜という意見も多い」という、いわゆる一般論(常識)から始まります。
しかし、要旨がつかめない人は、この最初の「一般論」を読んだだけで、「なるほど、この文章は『科学は素晴らしい』という話なんだな」と勝手に納得してしまいます。
これだけならいいのですが、その後に続く「しかし、それによって失われたものもある」という筆者独自の本音(主張)を、ただの付け足し程度にしか読まないことになってしまうこともしばしば。
こうなると、正しい「要旨」にたどり着くことができません。
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要旨をつかむ2つのコツ
⑴ 具体例は理解するための補助具
先ほど「原因」のパートで、具体例に夢中になりすぎてはいけない、という話をしました。
具体例の冒頭には、多くの場合「例えば」が置かれています。そうでなくても、固有名詞が出てきていたら具体例の可能性大です。
では、具体例が出てきたらどう向き合えばいいのでしょうか。
結論から言えば、「具体例は、抽象的な主張(要旨)を支えるための踏み台」だと割り切ることが重要です。
筆者が「例えば……」と具体例を持ち出すのは、自分の主張が難しすぎて、そのままでは読者に伝わらないと不安に思っているからです。それを利用しない手はありません。
具体例だけに固執しないようにするには、「何のためにこの例を出したのか?」を常に考える必要があります。
例えば、次の文章を読んでみてください。太字の部分は、何を表したくて例として出しているのでしょうか?
自然を支配しようとする現代人の傲慢さは、あらゆる場所に現れている。例えば、うっそうとした森を切り開き、画一的なコンクリートのビルを建て、川の流れをダムでせき止めるような行為だ。 しかし、こうした自然への介入は、巡り巡って我々の生存を脅かすことになる。
このとき、「都市開発を目的とした環境破壊行為のことを言ってるのね」とざっくり理解できれば、この具体例自体にこだわる必要はありません。頭の中で画像的なイメージができると尚良いかも。

具体例で迷子になってしまうことが多い人は、トレーニングとして、文章中で具体例に当たる箇所に全て線を引いたり、四角で囲んでみると良いかもしれません。
筆者はどんな主張を理解してもらいたくて、この具体例を出しているのか把握できれば、迷子になることもなく、本当に筆者が言いたいこと(=要旨)をつかむことができます!
⑵ 「筆者は、わざわざ喧嘩を売りたくて書いている」と考える
評論文を「賢い人が難しいことを説明している文章」だと思っていませんか? その思い込みが、要旨を遠ざけています。
実は、評論文の筆者は「世の中の当たり前」に対して喧嘩を売っている人です。 誰もが「正しい」と信じている常識(一般論)に対して、「いや、それは違うだろ!」と異議を申し立てて「論破する」ために、わざわざ何千字もの文章を書いているのです。
例えば次の文章では、筆者は何に対して異議申し立てしているのでしょうか?
現代社会において、利便性の追求は至上命題である。たしかに、ボタン一つで食事が届き、指先一つで世界中の情報を得られる生活は、かつてないほど「便利」に見える。 しかし、そうして「不便さ」を徹底的に排除した果てに、我々は自らの手で何かを成し遂げるという、人間本来の「生きる手応え」を失ってしまったのではないか。
太字部分で示されているような「便利すぎる生活」に対して、何か不満があることが読み取れるのではないでしょうか?

これが分かると、「これから筆者は、何事も便利な社会に対して逆張りして、違うことを主張するんだな、それが筆者の主張のオリジナリティの一つになるんだな」と想定できます。
評論文を読むたびに、まずは筆者が何を「一般論」として想定して「逆張り」しているのか、それを自分の言葉で書き出してみましょう。
まとめ
「要旨をつかむ」とは、単に文章を要約することではありません。
それは、自分がこれまで疑いもしなかった「常識」の外側にある、筆者の鋭い視点に触れるということです。
要旨をつかむことは、誰にとってもすごく難しい。
でもだからこそ、要旨さえ把握できれば、文章読解の解像度が一気に上がります。
お手持ちの国語の問題集の文章を読んでいて、「何を言っているのか分からない!」と思ったときには、またこの記事を見返して頂ければ幸いです。
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この記事を編集した人
東大生がつくる国語特化の個別指導塾ヨミサマ。編集部です。国語のプロフェッショナルとして、国語が苦手な生徒から東大受験対策まで述べ二千人以上を指導してきた経験を記事にしてお伝えします。完全独学で東京大学文科Ⅰ類に合格し、「成績アップは国語で決まる!」著者の神田直樹が監修しています。
