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【国語の長文問題が苦手な受験生必見!】明日から使える長文読解のコツ4選

更新日:2025.11.30

はじめに

こんにちは! ヨミサマ。編集部です!
国語の文章読解を頑張りたいと思っている皆さん、「筆者の意図がつかめない」「時間が足りない」「読んでいて不安になる」と感じることはありませんか…?

実は、この問題の本質は、語彙や速読力の不足ではありません。むしろ重要なのは、読む〈戦略〉が脳の情報処理の仕方に合っているかどうかです。

この記事ではまず認知の仕組みを利用した読み方をお教えし、その後で実際に使えるテクニックをお伝えします。

まずは:文章の大枠を先に押さえる

ここから長文を読むコツを4つお教えしていくのですが、そのコツ全てに通ずるのが、「文章の大枠を押さえる」ということです。

長文とは、いわば情報の塊の連続です。しかし脳のシステム上、情報を一つ一つ忠実に理解しようとすると、作業記憶が飽和して処理が遅くなってしまいます。

(頭がいっぱいになって困っている人)

そこで大事になるのが、最初に大枠を押さえることです。ここで大枠と読んでいるのは、文章のテーマ、主張、結論などのことです。先に大枠を押さえられると、以降の細部はその大枠に沿うものとして処理でき、脳の負担が大きく減ります。これは教育現場でも推奨される実践であり、問題を「なんとなく」読むのではなく、出題者の意図に沿って読むことが得点に直結すると指摘されています。(学習支援サービスフォーミュラの記事より)

では、4つのコツを詳しく見ていきましょう。

① 主張と具体例を分ける

国語の文章では、筆者は自分の主張をよりわかりやすく伝えるために、具体例を使っています。
言いかえれば、主張が目的で、具体例はその目的を説明するための手段なのです。

目的と手段では、目的の方が重要ですよね。このように、文章ごとの役割を意識し、優先順位をつけられるようになると、文章を速く読めるようになります。

机に向かい勉強をしている女子生徒

文章の途中に長い説明や逸話が出てきたときでも、「これは筆者が言いたいことそのものではなく、それを説明するための例なんだな」などと理解し、それに割く労力を節約できるようになるのです。

たとえば…

引用:三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』p.26(集英社新書)

先ほど、主張と具体例の関係を意識すると、文章の構造がわかりやすくなり、速く読めるようになると言いました。

しかし、文章の構造を明確にすることのメリットは、それだけではありません。実は、文章の構造が明確になると、文章の内容の理解度が上がるのです。実際に、文章の構造に対する認知負荷が高いと、文章の内容の理解度が低下することが分かってきています。構造が不明瞭だと、構造の理解に頭を使ってしまい、内容の理解に集中できなくなるのです。

そのため、文章構造をわかりやすくして作業記憶への負担を下げる工夫をすることで、文章の内容の読解に集中できるようにすることが重要です。

見分けるときのコツ

ここまでで、文章の構造を明確にするメリットをお伝えしてきました。最後に少しだけ、その実践のコツをお伝えします。

  • 筆者の主張には線を引く
     →「~べきだ」「~が重要だ」「~と考える」といった断定的な表現は、筆者の考えそのものを示していることが多いです。目立つように線を引きましょう。
  • 具体例は( )かっこで囲む
     →「例えば」や「一つの例として」といった表現から始まる部分は具体例であることが多いです。( )で囲むと、「主張」と「その証拠」が視覚的に分かれ、読みながら整理しやすくなります。

② 二項対立を探す 

「二項対立」という言葉を知っていますか?

文章を書く人は、主張の明確さや説得力を増すために、二項対立を利用します。文章の背後にある二項対立を掴むことは、筆者の主張や立場を明確に読み取ることに直結するのです!

二項対立とは?

二項対立とは、互いに対照的な考え方や立場を並べることで、主張をはっきりさせる構造のことです。
たとえば「伝統 vs 進歩」、または「個人 vs 社会」、さらに「自然 vs 人間」……などなど。
このような対立を軸に文章が組み立てられていることは非常に多く、筆者はこの構造を利用して、自分の意見により説得力を持たせているのです。

日常の会話にも潜んでいる「二項対立」

実は、私たちの日常会話でも、二項対立を利用することができます。
たとえば、「スポーツが好き」と誰かに伝えるとき、以下の二つの言い方のどちらの方が伝わりやすいでしょうか。

サッカー選手の足元とサッカーボール
  1. 「スポーツが好きなんだ」
  2. スポーツが好きなんだ。逆に、椅子に座ってばかりの勉強は苦手で…」

②の言い方のほうが、「スポーツが好き」という気持ちについてより詳細に述べられているのではないでしょうか。②は①と違って、ただ「好き」と言うだけでなく、「スポーツ」と「勉強」という二つの対立するものを背景においています。この二つの対立項を背後に並べることで、「スポーツが好き」の背後にある「体を動かすことが好き」という考えを示すことができます。

このように、二項対立を設定すると、言いたいことをより明確に伝えられるのです。

文章で使われる「対立の構造」

国語の文章でも、二項対立はしばしば現れます。
たとえば、「東洋文化の魅力」を伝える文章では、いきなり東洋の話だけをするのではなく、「西洋文化」との比較を通して東洋の特徴を際立たせる構成が多く見られます。

東洋の文化には、調和を重んじるという特徴がある。この特殊性は、個別性を重視する西洋文化と比較すると、よりはっきりとわかる。」

上記の文章では、「西洋文化」と「東洋文化」という二つの対立を軸にすることで、東洋の文化の特殊性を際立たせています。

二項対立を整理するコツ

見つけた二項対立は、表にして整理すると読解に効果的に役立たせることができます。
たとえば、次のように左右に書き出し、文章全体に通底する軸や、筆者の立場を視覚化してみましょう。


筆者がどちらの側を肯定し、そのどの点を強調しているのかが明確になり、文章の設計図を手に入れたように読めるはずです。

③ テーマ・キーワードを先に見つける 

認知科学では、文章を読んでいる時、人は既存の知識・枠組み(スキーマ)を使って文章を予測的に処理するとされています。

たとえば、都留文科大学の論文によると、英語の文章を読解する際に、その背景知識について日本語で解説された人は、そうでない人に比べてより正確にその文章を読解できたそうです。(高田、1999)

このように、先にその文章の背景知識やテーマを押さえておくと、目に入った文を瞬時に「主張か例か」「因果か対比か」と分類できるため、速く、正確に文章の意味や構造を掴めます

雑談にもテーマがある

もう一つの例として、ある雑談のシーンを想像してみてください。あなたが友人に「カレーもいいし、お寿司もいいな…」と言われたとしましょう。一見、ただ食べ物を羅列しただけに聞こえる発言ですが、会話のテーマが〈晩ご飯として食べたいもの〉であることだとわかっていれば、その羅列は「晩御飯の選択肢を挙げている」発言だと理解できます。つまり、テーマを先に意識できれば、細部の言葉がどのような意図を持つか、一気に見えてくるのです。

文章の世界でも同じことが起こります。たとえば、読んでいる文章のテーマが「科学の危険性」だとわかれば、次のような読み方が可能になります:

  • 「例えば原子力発電は」という一文を読んで、科学の危険性の具体例として原子力発電を挙げているのだなと気づける
  • 「それでも科学には…」という文が来たとき、筆者は科学の価値も認めつつ、注意を喚起したいのだなという読み方ができる

このように、まずテーマを掴むことは、文章の構造を理解するコンパスになります。

テーマを見つけるコツ

そうは言っても、そもそもテーマを見つけるのが難しいので、そのコツをお伝えします。

以下の視点を持つと、テーマ探しが速く、確実になります。

  • 繰り返される語を探す
     文章中で幾度も出てくる言葉は、筆者が特に重視している語の可能性が高く、テーマを見つける手がかりになります。
  • 名詞だけでなく、述語に注目する
     「日本人」という名詞が頻出していたとしたら、名詞だけでなく、述語に注目しましょう。「日本人は◯◯だ」「日本人が××に悩む」など、その述語をセットで見ることで、単なるテーマ以上の主張の方向性が浮かび上がります。

このように語 × 述語のペアを意識することで、テーマはより具体的に見えてきます。

④ 「はじめ」と「おわり」に全集中する 

机に向かって勉強をする女子生徒

文章を読むとき、すべてを完璧に理解しようとする必要はありません。
実は、「はじめ」と「おわり」さえしっかりつかめていれば、筆者の言いたいことの8割は理解できます

たとえば、友達が「好きな映画は…」という話を始めて、たくさん話した後に、「となりのトトロが一番!」と締めくくったとします。たとえ途中の話を細かく覚えていなくても、友達が「となりのトトロの魅力を語りたかった」ことはわかりますよね。

国語の文章でも同じです。
もし冒頭で「人生に必要なのは…」と書かれ、最後で「自由と希望を与えてくれるものとしての旅」と締めくくられていたら、「筆者は旅を通して人生に必要なものを語っているんだな」と読み取ることができます。途中の細かい説明がわからなくても、文章の大きな流れはつかめるのです。

そしてこれは、「③ テーマ・キーワードを先に見つける 」でお伝えしたこととも深く関わります。③では、文章のテーマやキーワードを押さえれば、文章の構造がわかり、内容も掴みやすくなることをお伝えしました。そしてテーマやキーワードは、ほとんどの場合文章の「はじめ」と「おわり」に書かれています。つまり、「はじめ」と「おわり」を理解できていれば、中間部分もぐっと読みやすくなるのです


たとえば、先ほどの人生を旅になぞらえながら語る文章の場合、中間部分も「このあたりでは旅がどんなふうに希望を与えるか書かれているはず」と予想しながら読めるため、理解の難易度が下がるんです。

そして、他のヨミサマ。講師によると、「文章の最初と最後を意識して読む生徒さんは意外と少ない」そうです。
だからこそ、最初と最後を丁寧に読むだけで、一歩リードできる読解力が身につきます。

「はじめ」と「おわり」を理解するためのコツ・練習法

ここまで読んで、「はじめ」と「おわり」が大事なのはわかったけれど、実際にどう読めばいいの?と思った方もいるかもしれません。
そこで、読解の現場で私が生徒さんに勧めている、簡単で効果的な方法を紹介します。

「はじめ」と「おわり」を理解するためのコツ・練習法

① 段落の最初と最後に印をつける

② 「結局、何の話だったのか?」を一言でまとめてみる

③ 「はじめ」と「おわり」だけ読んで内容を予想する練習

① 段落の最初と最後に印をつける

まずは、文章全体の「はじめ」と「おわり」だけでなく、各段落の最初と最後にも注目してみましょう。
多くの文章は、段落のはじめに主張(言いたいこと)、最後にまとめが書かれています。
段落ごとに印をつけて読むだけで、文章の流れがぐっと見えやすくなります。

② 「結局、何の話だったのか?」を一言でまとめてみる

段落や文章を読み終えたあとに、「結局、この段落(または文章)では何を言いたかったんだろう?」と自分に問いかけてみましょう。
その答えを一言で言えるかどうかがポイントです。
一言で言えなければ、「はじめ」と「おわり」をもう一度確認して、筆者の意図をつかみ直してみましょう。

机に向かって勉強をする女子生徒

③ 「はじめ」と「おわり」だけ読んで内容を予想する練習

短めの文章を使って、最初と最後の部分だけを読んでみましょう。
その上で、「この文章の中間にはどんなことが書かれていそうか?」を想像してみます。
その後で実際に中身を読んで答え合わせをしてみると、筆者の考え方の筋道や構成のクセがつかみやすくなります。
この練習を繰り返すと、初見の文章でも「こういう流れになりそう」と自然に予測できるようになります。

4コママンガを使って練習するのもおすすめです。一コマ目と4コマ目だけを重点的に読んで、内容を把握してみよう!

まとめ:あなたにもできる!長文読解の攻略法

長文が苦手なのは語彙や速読だけの問題ではなく、読む戦略が脳の処理に合っていないことが大きな原因です。本記事は「認知の仕組み」を利用して、最小限の手間で理解力と得点力を上げる方法を示しました。

核となる考えはシンプルです。

まず文章の大枠(テーマ/主張/結論)を押さえ、その枠に沿って細部を処理する。

これだけをまずは守って読解問題に取り組んでみましょう。

主要テクニックまとめ

  1. 主張と具体例を分ける。主張が「目的」で、具体例が「方法」です。核を把握すれば読み取りが楽になります。
  2. 二項対立(対比)を探す。どんな対立軸が背後にあるのかがわかれば、筆者の立場がより明確になります。
  3. テーマ・キーワードを先に掴む。予測がしっかり立っていれば、作業記憶の負担が下がり、理解が速く正確になります。
  4. 「はじめ」と「おわり」を本気で読む。冒頭と結論を押さえれば大意の8割は掴めます。そして、大意を掴むと推測しながら中間部分を読めるようになります。

今回は、誰にでも真似できる長文読解の攻略法をお伝えしてきました。

今回は読解の中でも「読む」ことに重きを置いて解説してきました。これが身についた人には、「解く」すなわち「書く」ことに関する記事もおすすめです!

そして、あなたにぴったりの国語読解の攻略法がわかるのが、個別指導のヨミサマ。です。ヨミサマ。では、国語のプロである講師陣が、生徒一人一人に向き合い、その人にあった文章読解法を一緒に模索していきます!

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参考文献

「英語読解と記憶におけるスキーマの役割」高田理考, 1999, 都留文科大学研究紀要

「テキストメディアに伴う認知負荷の内容理解への影響」, 吉村宰. 野真臣, 1994, 日本教育工学雑誌

【中学受験国語】問題はどっちから読む?設問先読みのメリット・デメリット解説

この記事を編集した人

ヨミサマ。編集部

東大生がつくる国語特化の個別指導塾ヨミサマ。編集部です。国語のプロフェッショナルとして、国語が苦手な生徒から東大受験対策まで述べ二千人以上を指導してきた経験を記事にしてお伝えします。完全独学で東京大学文科Ⅰ類に合格し、「成績アップは国語で決まる!」著者の神田直樹が監修しています。