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「読解力の土台は親の問いかけ」 慶應大生のヨミサマ。講師が語る国語の体験記
先生のプロフィール

【プロフィール】
名前:粟埜千洋
大学:慶應義塾大学
高校時代の部活:オーケストラ部
趣味:チェロ、指揮、写真
幼少期から読解力をどのように育んだか
小学生までの私は、絵本や図鑑、DVDの世界に浸るのが大好きな子供でした。
絵本でいえば『こぐまちゃん』シリーズの鮮やかな色彩や、『しょうぼうじどうしゃ じぷた』の健気な活躍、『すてきな三にんぐみ』の奇妙で優しい世界観に夢中になりました。また映像作品では『ペネロペ』や『せなけいこ おばけシリーズ』を繰り返し見ていました。
ただ、私の体験が幸運だったのは、それを一方的に消費するだけで終わらなかったことです。
近くにいた親が、常に私に「問い」を投げかけてくれたのです。「この時、こぐまちゃんはどんな気持ちだったのかな?」「どうして、ここでおばけが出てきたんだと思う?」
心情や物語の展開について問われる内容は多岐にわたりましたが、子供ながらに必死に答えを探そうと画面やページを凝視しました。言葉になっていない行間や、キャラクターの表情から感情を読み取る。
この親子での対話を通じて、文脈から心情を把握する「情緒的な読解力」が大いに養われました。加えて、図鑑を眺めるのが好きだったことも奏功しました。そこに書かれた知識の断片は、その後、物語や会話の中で「あ、これは図鑑で見たあれだ」と繋がる瞬間を生み出し、文章理解の解像度を高める大きな糧となりました。

一方で、今の私の思考を支えているのは、意外にも「NHKのニュース」でした。これが「論説文的観点での読解力」のルーツです。
小学生がニュースを見ると、当然ながら知らない単語や難しい漢字ばかりです。しかし、私はそこでチャンネルを変えるのではなく、「推測ゲーム」のように楽しんでいました。
「この文脈でアナウンサーが深刻な顔をしているから、これは悪い意味の言葉だろう」「前後の話からすると、これはお金に関係することかな」と、自分が持ちうる僅かな語彙を目一杯活用して内容を推測するのです。多少難解なトピックであっても、「なんとなく」全体像を掴む訓練を繰り返しました。

特に印象深いのは、小学2年生だった2013年の記憶です。当時、大規模な金融緩和政策が始動し、ニュースでは連日「円安」が叫ばれていました。
1ドルが103円台まで動いたとき、私はニュースを通じて「円安・円高」という経済概念に触れました。それだけでなく、そこから「1ドル=100円なら、1円=0.01ドル」といった逆数の概念まで、算数の知識と結びつけて理解することができました。
社会の動きと学校の勉強がリンクするおもしろさをこの時学びました。この時に培った「未知の情報を論理的に推測し、体系化する力」は、その後の学習における強力な武器となりました。
受験期に国語力向上のために取り組んだこと
私は、中学受験と大学受験に二つの受験を経験しました。
まず中学受験ですが、私が挑んだのは「適性検査型」と呼ばれる特殊な試験でした。
「文章を読んで、それに対するあなたの意見を書きなさい」という、正解のない作文形式です。
当初、私は自分の思いつくままに筆を走らせていましたが、評価は芳しくありませんでした。
そこで意識改革を行いました。「書く自分」と「読む自分」を分離すること、つまり「採点者の視点を内面化すること」です。作文を書いている最中、2文進むごとに立ち止まり、「これは初めて読む人にも伝わる論理構成か?」「主語と述語がねじれていないか?」「語尾のトーンは統一されているか?」と、まるで意地悪な先生になったつもりで自分の文章を検閲しました。
自分の答案を絶対視せず、客観的に粗を探す。この「メタ認知」の視点を持ってからは、判定はEから一気にBへと跳ね上がり、無事合格を掴み取ることができました。

しかし、大学受験では再び壁にぶつかりました。京都大学を第一志望に見据えていた私にとって、共通テストの現代文は避けて通れない関門でしたが、4月の模試で200点中100点程度しか取れず、愕然としました。
中高時代、感覚だけで国語を解いてきたツケが回ってきたのです。 そんな私を救ってくれたのが、『決める!共通テスト 現代文』という一冊の参考書でした。
それまで「なんとなく」選んでいた選択肢には、実は明確な論理的根拠があること。現代文とは感性ではなく、本文に書かれた論理構造をトレースする「技術」であることを初めて体系的に学びました。
このパラダイムシフトは劇的でした。論理の道筋が見えるようになると、霧が晴れるように正答へのルートが浮かび上がり、最終的には安定して160点台後半をマークできるようになりました。
この経験は、現在の「感覚的なものを言語化して理解する」という私の学習スタイルの基礎となっています。

ヨミサマ。で講師をするときに大事にしているもの、理由
例えば、数学の難しい問題を解くとき。
解くための公式などの道具はそろっているので、あとはどう考えるか、どう解くかにフォーカスするだけのとき。
僕たちはいろいろな考えを思いつき試すけれど、解答を見ると自分の解答がちんぷんかんぷんであることに気づいたという経験、誰しも一回はあると思います。解答を見ても、何ができていて何ができていないのか、判然としないと思います。
そのときに、僕たち講師が最も成績を伸ばすためにやるべきことはなんでしょうか。
僕は、「自分の解答と模範解答の分岐点を見つけること」だと思っています。授業の中では「ここまでの考え方はあっているね!いいね!でも、この文を見てごらん?○○と書いているよね。」というように、分岐点を一緒に確認し、そこまで到達していることをともに喜びます。そして、正しい道とその先を指南します。
自分のわかっている領域とわからない領域の境界線を明確にし、その境界線をよりむこうがわへ広げてあげること、これこそが学びであると思うと同時に、僕が日々授業を持つなかで大事にしているものです。
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この記事を編集した人
東大生がつくる国語特化の個別指導塾ヨミサマ。編集部です。国語のプロフェッショナルとして、国語が苦手な生徒から東大受験対策まで述べ二千人以上を指導してきた経験を記事にしてお伝えします。完全独学で東京大学文科Ⅰ類に合格し、「成績アップは国語で決まる!」著者の神田直樹が監修しています。
